アミラーゼ
amylase
基準値 60〜185IU/L G5-beta-CNP基質法
[検査データの読み方]
増加 | 185IU/L 以上 |
[しばしば認める病気]急性膵炎、慢性膵炎など膵臓の炎症による組織の崩壊を示しています。 [時に認める病気]膵嚢胞、膵癌、総胆管結石、Vater乳頭癌などによる膵管の圧迫や狭窄の出現を示唆。一方、唾液腺に関する病変では、急性耳下腺炎、唾石など。消化管穿孔、腸閉塞、腹膜炎、子宮外妊娠などによる炎症が膵臓に及ぶ場合。またアミラーゼ産生腫瘍(肺癌、卵巣癌、卵管癌など)も希だが忘れてはいけない。マクロアミラーゼ血症はアミラーゼの構造異常であり、膵臓や唾液腺疾患とまったく関連なく、被検者が健康にもかかわらず常に高値を示します。マクロアミラーゼ血症の場合には、膵PLA2やリパ−ゼの測定を同時に行うと有用で、これらの指標が正常にもかかわらず、アミラーゼ値が高値を示します。その他、慢性腎不全、ショックでも高値を示す事がある。 |
減少 | 60IU/L 以下 |
[時に認める病気]膵全摘後、慢性膵炎や膵癌による膵実質の荒廃(即ち膵臓病の末期状態)、唾液腺摘出後などアミラーゼを産生する臓器の崩壊。膵酵素補充療法などで認める。 |
[どうして異常値が出たのだろう?]
一言で言えば、可能性の一番高いのは膵炎の疑いです。暴飲暴食していませんか?糖尿病やすい臓がん、胆石などはありませんか?
血清アミラーゼの由来は、膵臓と唾液腺が主であります。それぞれの臓器に特異的なアイソザイムがあり、血中では通常唾液腺型アミラーゼがやや多い。血清アミラーゼの上昇機序には、膵臓や唾液腺の(1)炎症進展や、(2)腫瘍、結石が引き起こす膵管の閉塞による血中への酵素の逸脱、腸からの漏出、腎からの排泄障害(マクロアミラーゼ血症、慢性腎不全)、異所性産生(腫瘍)などがあげられます。
低アミラーゼ血症は、膵や唾液腺の摘出後、あるいは慢性膵炎や膵癌による膵実質の荒廃によって起きます。一般に膵臓病の初期には上昇し、末期には低下してくる(膵臓が枯れる)。
マクロアミラーゼはアミラーゼにIgGまたはIgAタイプの自己抗体が結合した複合体で、高分子量のため腎からの排泄が低下し、血中に貯留したマクロアミラーゼのため、持続性の高アミラーゼ血症をきたします。ACCR(Amylase Creatinine Clearance Ratio)は1%未満となります。まったく尿中にAmylaseが出て行けない状態であり、膵臓に炎症や腫瘍が起きているのではありません。このような場合患者さんは、健康な生活を営んでおり、病的と考えることは無いでしょう。
[ワンポイントアドバイス]
(1)男女差はなく、運動の影響なし。
(2)健常者では食事の影響なし。高アミラーゼ血症では食後に上昇をみることがあります。わざと脂肪の多い食事を負荷してAmylaseが高くなるかどうかしらべる誘発試験を行う事があります。
(3)著明な乳び血症や溶血が測定に影響しますことがあります。
(4)新生児ではほとんど認めず、5〜10歳で成人レベルに達します。
(5)やせた人のほうが少々高い。
(6)尿中のAmylase測定併用が、検査時刻より遡って発生した病変の探知に有用です。