検索エンジンでいらしゃった方は、こちらからトップページへどうぞ!

今月の症例

当院で発見された興味深い症例のごく一部をご紹介するコーナーです。


アタマジラミ


8歳男性 主訴:あたまのかゆみ

画面中央部に白いものがある! シラミの卵

アタマジラミは、成虫の体長が2.53.5mmの昆虫で、髪の毛に寄生します。卵からかえって幼虫となり、脱皮を繰り返して成虫になり卵を産みます。子供さんが頭や耳を痒がっていたらしっかり頭を観察してみましょう。左の写真のように、シラミの卵を発見できることがあります。卵のついた髪の毛をマクロ撮影すると右のような感じです。

平成16年5月11日撮影


自然気胸


25歳男性 主訴:突然の胸部痛と呼吸困難

右肺がパンク、心臓陰影が左にシフト。

左のような小さな写真では表現されがたいが、
よく見ると右の肺がしぼんでいるのが・・・


もともと、ヘビースモーカーであり、
肺気腫がベースにあるので
レントゲンの所見をとるのは難しい。

なんとか、お分かりいただけるでしょうか?

軽度の気胸であり、レントゲン撮影が有効であった症例。
初診より10日経過。
治癒後のレントゲン像。

心臓の位置は中央に戻り、右肺は十分に拡張
しているのがわかる。

2004年4月1日撮影


オーム病


2月に、このコーナーで報告した家庭内感染性肺炎の女性(32歳)が再び発熱。
完治したはずの肺炎が、以前とは異なる部位(右中肺野S4)に再発。
冬季とはいえ、さすがにこれはおかしいので、もう一度詳細な問診を行った。

1月にサクラインコを飼育し始めたが、2週間ほどしてこのインコは鼻水を垂らしながら死亡したという事が判明。

当時、獣医さんに相談しサクラインコはオーム病と診断を受けていた由。2月の症例報告では家庭内同時感染性肺炎として考えたが、患者さん達のご協力により、血清オーム病クラミジア抗体価が高値を示していたことが判明。
これらの肺炎はオーム病によるものであった。
死んだサクラインコは庭に埋葬したということなので、サクラインコが居た部屋を徹底的に掃除消毒していただいた。

下記の家庭内感染性肺炎
とあわせてご覧ください。

テトラサイクリン系の抗生剤
が有効
32歳女性右S4肺炎 問診の重要性を再認識。

2004年3月1日撮影


家庭内感染性肺炎


60歳女性、32歳女性 同居家族が肺炎で同日日に初診。
インフルエンザは陰性。細菌性肺炎の家族内感染。母親が1月26日に発症、娘さんが1月29日に発症。
こういう事例は良く見かけます。家庭内感染を予防するために、発熱や咳がひどい時には必ず早い目に病院を受診しましょう。

60歳女性 右下肺野外側(S8) 32歳女性 右下肺野内側(S6)

2004年2月2日撮影


シスチン尿症と尿管結石


33歳 女性 左側腹部痛み
尿検査にて血尿を認める。

シスチン尿症であり、尿のアルカリ化を行いつつESWL(体外衝撃波結石破砕術実施施設をご紹介す。


左腎盂内結石 経静脈尿路撮影にて左水腎症を認める


2004年1月21日撮影


急性胃粘膜病変(AGML)


35歳 男性 主訴は腹痛と吐血・下血
緊急内視鏡検査を実施し、下記の病変を観察した。

1)胃体部

2)胃角部

3)胃幽門部(左)と十二指腸球部(右)

胃壁全般に浅い潰瘍と糜爛が認められ、広範に出血する部位を認める。
出血した赤い血液(ヘモグロビンの色)は、胃酸の影響を受けて酸化され、塩酸ヘマチンとなり、黒褐色(コールタールの色)を呈す。

アスピリンと忘年会の大量飲酒により惹起されたAGML(acute gastric mucosal lesion)症例と考えられる。

直ちに消化器病専門病院へご紹介した。左党のみなさん、気をつけましょうね。

2003年12月11日撮影


逆流性食道炎


46歳男性 主訴:胸痛・胸焼け

下部食道に数条の縦裂潰瘍(赤く粘膜が脱落した部分)を認める。
PPI(proton punp inhibitor)治療が著効した。


2003年11月4日撮影


胃がん


77歳男性
食道胃接合部に認められる1センチの大きさの腫瘍。
組織検査では高文化型adenocarcinoma(tub1)であった。
胃全摘出術が行われる予定。

左食道側から胃を覗く像      胃(噴門部)側から見た像
                     (黒く見える管は胃カメラ)

2003年10月31日撮影


十二指腸潰瘍(幽門狭窄)


26歳男性 上腹部の痛みが主訴

クローバー状に変形した十二指腸球部を内視鏡で観察した。
左上は幽門輪を見たところ。右上は幽門輪のクローズアップ。
左右に豚の鼻孔のように二つの孔が開いている。
左下は右の孔へ侵入を試みた像。
右下は左の孔へ侵入を試みた像。
進行した幽門狭窄を起こしているため、内視鏡の通過はできない。
こういう症例に遭遇した時に無理やり内視鏡を押し込むと消化管穿孔を起こすので注意が必要。

本症例では食物の通過も困難であり、手術を行う必要があると考えつつ経過観察している。


2003年10月31日撮影


胃角部胃潰瘍


44歳女性 10年来の腹痛
胃角部に大きな潰瘍(白苔)と出血点(黒点)を認める。

ピロリ菌除菌療法無効例。

2003年9月22日撮影


胃角部胃潰瘍


33歳男性 10年来の腹痛

胃角部に白い苔状の潰瘍が認められる。
ピロリ菌除菌療法が著効。完治。

2003年8月5日撮影


胃粘膜下腫瘍


66歳 女性
食道直下に直径約1センチの腫瘍を粘膜下に認める。
これらの多くは、良性の平滑筋腫である。

2003年7月14日撮影


慢性膵炎


65歳 男性(大量長期飲酒家)
主訴 慢性の腹痛・下痢
合併症 インスリン依存性糖尿病

1)腹部レントゲン撮影にて腰椎左側に膵臓の石灰化が認めれる。

2)石灰化画像のクローズアップ

一般の方にはちょっと読みがたいでしょうか?

2003年7月10日撮影


尿管結石症


60歳 男性 主訴は右側の腰・腹部激痛と血尿。
腎盂尿路造影:DIP(drip infusion pyelography)像の1枚を示す。
尿管結石のために、尿流が妨げられ、左側に比べて右側の尿路が拡大。

2003年7月8日撮影


早期胃がん


46歳 女性 主訴は腹痛と貧血

胃カメラにて胃体部大弯に小さな潰瘍性病変を認めた(左図)。
近接して撮影してみると、4本の皺壁が潰瘍に集合し、潰瘍直前で肥大して途絶している。(右図)
病理標本で胃の腺がん(tub2)と診断。

直ちに胃がん治療専門施設へご紹介した。

2003年6月26日撮影


胃潰瘍


45歳 女性 主訴は吐血(血を吐くこと)と血便

胃カメラ検査にて胃体下部に急性の活動性潰瘍(A2)を認める。

潰瘍底の中央下部に小さな黒い点がある。

ここが出血源の動脈断端である。

2003年5月25日撮影


胃・十二指腸潰瘍


64歳 女性 主訴は空腹時の腹痛
胃カメラ検査にて十二指腸(左図)と胃角上部小弯側(右図)に活動性の潰瘍を認めた。

左図では白い苔がついたように観察される部分が潰瘍で、十二指腸球部の変形を伴っている。
右図でも同様に三角おにぎりの鋳型の形に潰瘍が観察される。白の横線が入った黒い管は内視鏡そのもの。

2003年5月18日撮影


胃がん


59歳 男性 食後の軽い腹痛で来院
昨年の暮れに人間ドックでバリウム検査は受けたが異常なしとのこと。
以前に自分の父親が65歳で胃がんで亡くなったので、自分でもそうじゃないかと心配になった由。

この患者さんの直感は当たり!

胃幽門部に写真のようながん性潰瘍を認め、専門病院へ直ちにご紹介申し上げた。
2003年4月26日撮影

本症例の胃がん摘出標本(摘出した胃の全体を拡げたもの)


本症例の胃がん摘出標本(幽門部の胃がんを拡大撮影したもの)


胃・十二指腸潰瘍


48歳女性 腹痛
右図が十二指腸、左図が胃の幽門部。十二指腸の前壁・後壁(左図の上下)に潰瘍を認めタッシェ(ポケット)を作っている。幽門部前壁にも潰瘍が認められ、びらん性胃炎が広範に広がっている。幽門輪(右図のトンネルの入り口をこう呼ぶ)も変形している。この幽門輪の奥に十二指腸(左図)が覗ける。ピロリ菌陽性。除菌療法も考慮。

2003年3月24日撮影


解離性大動脈瘤


80歳 女性 背部痛
腹部大動脈が膨隆している。大動脈(AORTA)の外周は52ミリ、内部には偽腔(PSEUDO LUMEN)が形成されている。

2003年3月6日超音波画像装置にて記録


食道裂孔ヘルニアと逆流性食道炎


42歳男性 主訴:頑固な胸焼け

食道-胃接合部括約筋が弛緩し、食道裂孔ヘルニアを起こしている。(左図)
下部食道に縦走する発赤を認め、逆流性食道炎の存在を示唆していた。(右図)

2003年2月20日撮影


労作時狭心症(エルゴメーター運動負荷心電図


55歳女性 主訴:労作時の胸の痛み
当院にてエルゴメーター運動負荷心電図を実施。
運動負荷時に胸痛再現あり、脈拍数120にて運動負荷試験中断。
胸部誘導(V5-6)にて1.2-1.6mmのST降下を認める。(左:運動負荷前、右:運動負荷中止後3分)
今後、冠動脈造影検査を予定。
2003年2月21日記録


洞機能不全症候群(ホルター心電図


87歳女性、主訴突然の意識障害

ホルター心電図(24時間記録心電図)に下記の所見を認めた。
15:20:55に3.60秒の心拍停止を認める。SSS(Sick Sinus Syndrome:洞機能不全症候群R-SU)が疑われる。
15:39:23に心室性期外収縮の二段脈を認める。
(横軸は25mm/sec、縦軸は1.0mV/10mm)
意識障害はアダムスストークス発作と考えられるので、電気生理学的検査を行い、ペースメーカー挿入の適応について検討開始。
2003年2月2日記録


洞機能不全症候群(ホルター心電図)


A)日中の頻脈(脈拍数245/分)が突然発生すると同時に・・・・・・・・



B)睡眠中に徐脈(約6,40秒間の心停止)が多発している。

59歳男性、主訴:動悸・息切れ

安静時の外来12誘導心電図では異常が指摘できなかった患者さんである。
ホルター心電図(24時間記録心電図)に上記(A,B)の所見を認めた。

10:36:00に突然起きる異常な頻脈(A)を認め、03:04:14に6.40秒の心拍停止(B)を認める。
このように、同一の人の心電図が朝晩でまったく異なった挙動をする。
これは徐脈頻脈症候群と呼ばれる病態である。
SSS(Sick Sinus Syndrome:洞機能不全症候群R-SV)が疑われる。
(横軸は25mm/sec、縦軸は1.0mV/10mm)
ペースメーカー挿入の適応について直ちに検討開始。
2003年2月22日記録


胆石症


75歳女性 右季肋部痛にて受診

+----+で胆石のサイズを計測すると17ミリである。
胆石は超音波を完全に反射してしまうので、胆石の腹側表面だけに強い孤状のechoが認められ、その背側にはechoを認めない。
この黒い影をacoustic shadowと我々は呼ぶ。現在は腹腔鏡下での胆嚢摘出が一般的である。

2003年1月20日記録


Mallory-Weiss症候群



72歳女性、心窩部痛と血性嘔吐にて来院。緊急に上部消化管内視鏡(所謂胃カメラ)実施。
十二指腸潰瘍廏痕(第1列左)と出血性胃炎、及び食道胃接合部に亀裂と出血を認めた(第3列左)。
逆流性食道炎により食道に白苔が出来ている。

Mallory-Weiss症候群
急激な腹圧上昇によって、食道・胃接合部に強い圧力が加わり裂創が生じる。上部消化管出血を来す症候群として有名。
自然止血あるいは粘膜保護薬や止血薬、制酸薬などの薬物療法で止血することが多い。時に大出血が認められる。
大量出血例では内視鏡的止血法あるいはS-Bチューブによる圧迫止血が必要となる。
手術適応となる症例は稀である。

2003年1月19日撮影


WPW症候群(typeB)


WPW症候群は房室結節以外に心房と心室を電気的に連絡する副伝導路を先天的に持つ症例につけられる疾患名である。
PR間隔が短縮しデルタ波を認める。本症例は73歳、胃がん手術後の女性である。頻拍発作は無く経過を観察している。

治療対象となるのは副伝導路の関与した発作性頻拍のある症例である。

1)心房→房室結節→心室→副伝導路→心房の順に電気的興奮が旋回する正方向性房室回帰性頻拍(正常QRS波)と、
2)心房→副伝導路→心室→房室結節→心房の順に興奮旋回する逆方向性房室回帰性頻拍(幅広QRS波))頻度は極めて少ない)、
3)電気的興奮が副伝導路を順行伝導する発作性心房粗・細動(偽性心室頻拍)が含まれる。

2003年1月17日記録


早期胃癌


76歳男性

平成14年11月11日にゴツゴツしたポリープを生検しGroupVであった。
平成15年1月6日再度内視鏡検査実施。高分化型腺がん(GroupX)と診断。
癌は幽門輪直前前壁側に存在。大きさは約1.5センチ。自覚症状は無し。
2003年1月6日撮影


下の図は後日この症例で摘出した手術標本である。
幽門部(34.5cmの位置)に癌性の潰瘍が認められる。


食道癌


胸部中部食道(門歯より30センチ)に隆起型の扁平上皮がんを認める。自覚症状はない。
80歳・女性 2002年12月2日撮影


腎臓癌


45歳男性
自覚症状なし。顕微鏡的血尿精査のため、腹部超音波検査実施。
右腎中央に円型の腫瘍を認めた。腫瘍の中央部には壊死が認められる。
泌尿器科にて右腎摘出手術実施。根治術であった。

2002年5月7日撮影


検索エンジンでいらしゃった方は、こちらからトップページへどうぞ!