毛虫皮膚炎

茶毒蛾による皮膚炎

茶毒蛾の皮膚炎は、専門家が見れば一目瞭然です。4月になると、この毛虫の幼虫に刺された酷い皮膚炎の患者さんが多く訪れます。特に近所の庭木や公園の椿(ツバキ)、山茶花(サザンカ)に近寄ると、刺されることがあります。幼虫が寄生している葉っぱに近づいただけでも、風に乗った毒針が皮膚に触れて酷い皮膚炎を引き起こします。


皮膚炎の発生と症状

茶毒蛾の幼虫に刺された直後には、ほとんど自覚症状はありませんが、数時間後にかゆみが現れます。このかゆみは紅色の小さく盛り上がった発疹で、最初は浮腫んだように見えます。発疹は融合せず、痛痒さを感じます。皮膚を擦ると、毒針がさらに深く刺さり、治癒が困難となります。


注意すべきケース

  • 庭木の手入れ: 「庭木に毛虫がいるので、午前中に農薬を撒いたり、枝を切って駆除したら、夕方から急に痒くなってきた」
  • 洗濯物: 「庭木の剪定をした日に、風に乗って飛んできた毛虫が乾かしていた洗濯物に付いたため、その服を着た人が痒くなってきた」

幼虫の特性

幼虫は生育の全期間を通じて集団で生活し、大きいものでは体長が25mmほどになります。人間を刺すのは目立って長い毛ではなく、幼虫の表皮に100万本もある細い毒毛針です。この毒針は幼虫が脱皮した後も長い間残ります。


痒みの原因とアレルギー反応

毛虫の幼虫の毒針毛に含まれる物質がアレルゲンとなり、皮膚炎を引き起こします。アレルギー感作の状態は人によって異なり、皮内テストで即時型反応と遅延型反応の両者が出現する人、遅延型反応のみに陽性の人、無反応の人に分かれます。無反応の人は過去に毛虫に接触したことがない人です。複数の植木職人さんの経験から、毛虫に触れている回数が多いと自然に皮膚炎が出現しなくなる傾向があるそうです。


対処方法

  1. 粘着テープで毒針毛を除去
    • 刺された部分にガムテープを貼り付けて、思い切り剥がします。
    • この処置を行った後、すぐに皮膚科を受診し、軟膏やかゆみ止めを処方してもらいます。
    • 着ていた下着や洋服は毒毛針に汚染されているので、すぐに洗濯してください。
    • 洗濯物は樹木から離れた場所で干すようにしましょう。
  2. 注意事項
    • 刺された部分を引っ掻かないように注意してください。毒針が皮膚の奥に深く刺さり、4週間ほど皮膚炎に悩まされることがあります。

子供の安全

元気な子供は毒蛾の幼虫がいる木の下で遊ぶことが多いため、親や教師も十分に注意が必要です。