伝染性膿痂疹 (とびひ)

Infectious Impetigo

夏の伝染性皮膚疾患の代表

伝染性膿痂疹、通称トビヒは、特に夏季に多発する伝染性の皮膚疾患です。主にブドウ球菌による感染が原因で、皮膚の表面に感染し、まるで火の粉が飛び火するように全身に広がります。

症状

主に小児に感染しやすく、以下のような症状が現れます。

  • 赤い糜爛(ただれ)や水疱: 米粒大から貨幣大までの大きさの発疹が体のあちこちに飛び火して出現します。
  • かさぶた: 発疹の分泌物が乾燥すると、黒褐色のかさぶたが形成されることがあります。
  • 好発部位: 鼻の中に常在するブドウ球菌により、鼻と口の周りが特に影響を受けやすいです。

感染経路

  • 接触感染: 感染者の発疹の分泌物には大量の菌が含まれており、これが他人の皮膚に付着することで感染が拡大します。
  • 自己感染: 鼻をほじった手で虫刺されや擦過傷を触ると、菌が感染して症状が広がることがあります。

注意点

アトピー性皮膚炎など、痒みを伴う皮膚病の際に発症することが多く、この場合、ステロイドの使用は症状を悪化させることがあるため、注意が必要です。アトピー性皮膚炎の皮膚は乾燥して微小な傷が多く、防御力が低下しているためです。

治療法

  • 抗生物質の軟膏と内服薬を併用します。
  • 伝染性疾患であるため、集団発症を予防するために、プールや保育園、学校などは休むことが推奨されます。

症例写真

  1. 3歳 男性: 鼻・唇
  2. 30歳 男性: 左脇下
  3. 4歳 女児: アトピー性皮膚炎に合併した治癒期の伝染性膿痂疹(両肘の裏、両膝の裏)

早期受診の重要性

感染した皮膚は薄く剥がれていきます。放置しても治癒しないため、全身に広がる前に早期の受診が重要です。