尿ウロビリノゲン、尿ビリルビン

基準値

  • ウロビリノゲン: ±~+
  • ビリルビン: 陰性 (感度0.8mg/dL)

異常値の読み方

1. ウロビリノゲン

  • 増加 (2+)~(4+):
    • よくある病気: 急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、アルコール性肝障害、薬物性肝障害、心不全、溶血性貧血、内出血、紫斑病、便秘、腸閉塞
    • 対処: 肝障害や溶血をきたす病気の診断と治療が必要です。
  • 正常 (+):
    • ウロビリノゲンは少し尿中に出ている(+)が正常です。
  • 減少 (-):
    • よくある病気: 肝内胆汁うっ滞、閉塞性黄疸、胆汁瘻、抗生物質投与による腸内細菌の減少
    • 対処: 胆汁うっ滞に関する診断と治療が必要です。

2. ビリルビン

  • 増加 (1+~3+):
    • よくある病気: 急性肝炎、劇症肝炎、肝硬変、薬物性肝障害、アルコール性肝障害、肝内胆汁うっ滞、閉塞性黄疸、Dubin-Johnson症候群、Rotor症候群
    • 対処: 肝臓の病気の診断と治療が必要です。

異常値が出る理由

尿ウロビリノゲンとビリルビンは、肝臓や胆道系の疾患を簡易にスクリーニングするために使用されます。異常値は以下のように解釈されます:

  • 尿ウロビリノゲンが増加し、尿ビリルビンが陽性: 肝細胞障害、抱合型ビリルビンの排泄障害が考えられます(例:肝炎、肝硬変、Dubin-Johnson症候群)。
  • 尿ウロビリノゲンが減少し、尿ビリルビンが陽性: 胆汁通過障害が疑われます(例:閉塞性黄疸)。
  • 尿ウロビリノゲンが増加し、尿ビリルビンが陰性: 非抱合型ビリルビン産生亢進の可能性があります(例:溶血性貧血)。
  • 尿ウロビリノゲンが減少し、尿ビリルビンが陰性: 非抱合型ビリルビンの血中増加やδ-ビリルビンの血中増加が考えられます(例:Gilbert症候群、Grigler-Najjar症候群、急性肝炎の黄疸回復期)。

尿中排泄の機序

  • 肝臓から胆汁中へ排泄された抱合型ビリルビンが腸内細菌による脱抱合と還元を受けてウロビリノゲンが生成されます。ウロビリノゲンは80%が便中へ、20%が吸収され、門脈から肝臓へ戻り再び胆汁中へ排泄される(腸肝循環)プロセスがあります。一部は大循環に入り尿中へ排泄されます。

ワンポイントアドバイス

尿ウロビリノゲンと尿ビリルビンは肝胆道系の病気を中心にスクリーニング検査として利用されますが、病気の特異性はありません。細かい診断は他の検査(CT、MRI、ERCP、US)と併用して行いますので、お医者さんに任せてください。