血糖(ブドウ糖)
基準値
異常値の読み方
- 高度低下(60 mg/dL以下)
- 症状:低血糖症状(いらいら、焦燥感、冷や汗、意識消失)が現れることがあり、緊急の処置が必要です。
- 考えられる原因:
- インスリン・経口糖尿病薬の不適切な使用
- 欠食
- 胃切除後ダンピング症候群
- 甲状腺機能低下症(橋本病)
- 肝腫瘍
- アルコール性低血糖
- 膵β-細胞腫
- インスリン自己免疫症候群
- 下垂体機能低下症
- 副腎機能低下症
- 果糖不耐症
- 軽度上昇(110 mg/dL以上)
- 考えられる原因:
- インスリン非依存型糖尿病
- インスリン依存型糖尿病
- 境界型耐糖能異常
- 胃切除後
- 甲状腺機能亢進症
- Cushing症候群
- 褐色細胞腫
- グルカゴノーマ
- 急性膵炎
- 慢性膵炎
- 膵腫瘍
- 異常インスリン血症
- 医原性高血糖
- 食事摂取後
- 中等度上昇(140 mg/dL以上)
- 空腹時血糖が126 mg/dLを超える場合:糖尿病と診断されます。
- 随時血糖が200 mg/dL以上:糖尿病の可能性が高いです。
- 考えられる原因:上記の病気に加え、グルコヘモグロビン、IRI、尿中C-ペプチドの測定を行います。
- 高度上昇(400 mg/dL以上)
- 症状:生命の危機が迫っているレベルで、糖尿病性ケトアシドーシスや非ケトン性高浸透圧性昏睡が現れる可能性があります。
- 考えられる原因:
異常値の原因
- 高血糖:
- インスリン分泌低下、インスリン感受性低下などにより、肝の糖新生亢進、末梢組織でのグルコース利用の低下が生じます。
- グルカゴン、アドレナリン、下垂体ホルモンがインスリンの作用を抑制し、血糖値が上昇します。
- 高浸透圧性昏睡時には、脱水が起こりブドウ糖の腎からの排泄障害がさらに加わり、血糖値が上昇します。
- 低血糖:
- 相対的インスリン過剰状態で起きます。摂食時のインスリン過剰分泌や膵ラ島β-細胞腫瘍、インスリン過剰投与などが原因です。
- 空腹時の肝臓での糖新生の低下、末梢での糖利用の亢進、アルコール大量摂取やコルチゾール不足も糖利用亢進を引き起こし、低血糖を招きます。
重要な情報
- アメリカ糖尿病学会の診断基準(1997年):空腹時血糖が126 mg/dL以上で糖尿病と診断されます。
- 精密検査:ブドウ糖負荷試験を行い、insulinogenic index(インスリン分泌指数)を算出します。IGT(境界型耐糖能異常)は糖尿病予備軍であり、近い将来糖尿病に移行する可能性が高いです。
ワンポイントアドバイス
- 採血時の状況によりデータは大きく変動します。HbA1cとの併用で糖尿病の管理を行います。
- 食事摂取で上昇し、絶食や運動で低下します。
- 日内変動としてはコルチゾール分泌が低下する午前4時頃に低下します。
- 全血で測定すると血漿の測定値より低値を示します。