癌細胞の増殖のしかた

この解説では、Gomperzianの腫瘍増殖曲線を用いて、癌細胞の増殖過程を説明します。この曲線はS字型をしており、癌細胞の増殖速度を示しています。

癌細胞の発生と増殖

1. 初期段階
   • 体の中で1個の癌細胞が発生します。
   • 初期段階では、癌細胞はゆっくりと分裂し、数を増やします。
2. 急激な増殖
   • 癌細胞の数が100個（10^2）を超えると、増殖速度が急激に増します。
   • 癌細胞の数が1億個（10^9）になると、癌の塊が形成されます。
3. 早期発見の限界
   • 現在の医療水準では、癌細胞が1億個（10^9）集合して初めて「早期癌」と診断されます。
   • この時点で腫瘍の大きさは約直径1センチ、重量にして1グラムです。
4. 致命的な段階
   • 癌細胞が1000億個（10^12）に達すると、体内の癌の重量は1000グラム（1キログラム）になり、これが致命的な段階です。
   • この段階に達すると、人は命を落とすことになります。

治療と再発のリスク

• 放射線療法や抗がん剤で癌細胞の数が減少しても、0.1グラムの癌が残っている可能性があります。これは約1000万個の癌細胞に相当します。
• 手術で全ての癌細胞を取り除いたとしても、目に見えない微細な癌細胞が残ることがあります。これが再発の原因となることがあります。

予防と早期発見の重要性

• 癌の予防が最も重要であり、タバコを吸わないなどの生活習慣が大切です。
• 早期発見といっても、細胞レベルでは癌は既に進行していることを理解することが重要です。