直接ビリルビン(Direct Bilirubin)

基準値

  • 0~0.3 mg/dL(アルカリアゾビリルビン法)
  • 0~0.4 mg/dL(酵素法、比色法)

異常値の読み方

  • 軽度増加(0.4~5 mg/dL)
    • しばしばあるいは時に認める病気
      • 急性肝炎
      • 慢性肝炎
      • 肝硬変
      • 肝癌
      • 劇症肝炎
      • アルコール性肝炎
      • 自己免疫性肝炎
      • 薬剤性肝障害
      • 急性脂肪肝
      • 肝内胆汁うっ滞
      • 原発性胆汁性肝硬変
      • 原発性硬化性胆管炎
      • 閉塞性黄疸
      • 肝膿瘍
      • ヘモクロマトーシス
      • Wilson病
      • Dubin-Johnson症候群
      • Rotor症候群
      • レプトスピラ症
  • 中等度増加(5~20 mg/dL)
    • しばしばあるいは時に認める病気
      • 上記の軽度増加の病気
      • 非代償性肝硬変
  • 高度増加(20 mg/dL以上)
    • しばしばあるいは時に認める病気
      • 上記の中等度増加の病気

異常値が出る原因

  • 医師の観察:肉眼的に黄疸(眼球結膜が黄色くなることで気づく)が見られる場合、総ビリルビンの値は2.5 mg/dLを超えています。素人が気づく黄疸では、5 mg/dLを超えていることがほとんどです。
  • ビリルビンの代謝経路
    • 非抱合型ビリルビン(間接ビリルビン)が肝臓でUDPGTの作用により抱合型ビリルビン(直接ビリルビン)に変化し、胆汁中に排泄されます。胆汁とともに腸管へ流れるビリルビンが糞便に黄金色を与えます。
    • 総胆管が閉塞すると便は白色になり、抱合型ビリルビン(直接ビリルビン)は水溶性であるため、尿中に現れて褐色調を示します。
  • 直接ビリルビンの増加の原因
    • 肝胆道系の病気:肝細胞障害、肝内胆汁うっ滞、胆道閉塞
    • 肝細胞障害:肝炎、肝硬変などでは細胞内小器官や毛細胆管の破綻によりビリルビンが血中に流入します。
    • 肝内外の胆汁うっ滞:ビリルビンの逆流により高直接ビリルビン血症が出現します。
  • 体質性黄疸:抱合型ビリルビンの排泄障害に起因するDubin-Johnson症候群、Rotor症候群があります。

ワンポイントアドバイス

  1. 性差:男性のほうが高値を示します。
  2. ミノルタ黄疸計:視診による観察には限界があり、客観性に欠けるため、ミノルタ黄疸計が開発されました。この計測器は客観性があり、操作が簡単で非侵襲的(採血が不要)であるため、スクリーニング法として極めて有効です。