気管支喘息

定義

気管支喘息は、広範かつ種々の程度の気道閉塞と気道炎症によって特徴付けられます。気道の閉塞は軽度のものから致死的なものまで存在し、自然にまたは治療により可逆的です。気道炎症はリンパ球、肥満細胞、好酸球など多くの炎症細胞が関与し、気道粘膜上皮の損傷と種々の刺激に対する気道の反応性の亢進を伴います。

症状

  • 夜中にゼーゼーして目が覚め、座ったままで朝を迎えることがあります。慢性化すると、これが普通だと思ってしまうことがあります。

治療

  • 治療方法:主にステロイド吸入薬を使用し、気道炎症を制御します。適切な治療を受けることで必ず良くなります。
  • 専門家の受診:症状がある場合は、一刻も早く呼吸器アレルギーの専門家を訪ねましょう。

気管支喘息の分類と治療方針

  1. 外因性(アトピー型)
    • 特徴:家族歴あり、アトピー性疾患(鼻炎、皮膚炎)を伴うことが多い。IgE値が高く、特異的IgE抗体が陽性。
    • 発症年齢:小児期が多い。
    • 症状:発作型。
    • 治療:気管支拡張薬、減感作療法が有効。
  2. 内因性(感染型)
    • 特徴:家族歴なし、アトピー性疾患を伴うことは稀。IgE値は正常で、特異的IgE抗体は陰性。
    • 発症年齢:40歳以上が多い。
    • 症状:慢性型。
    • 治療:気管支拡張薬がやや有効。

その他の病型

  • 運動誘発性喘息:小児に多い。
  • アスピリン喘息:成人難治性喘息に多く、成人喘息の約10%。致死的な喘息となることがあるため注意が必要。

頻度と疫学

  • 頻度:約3~5%。
  • 増加傾向:大気汚染、過栄養、食品添加物の問題が原因とされています。
  • オリンピック選手にも同程度の喘息有病率があるため、適切に管理すれば問題ありません。

病態生理

  1. 即時型反応:アレルゲンを吸入して30分以内に起こる気道収縮反応。
  2. 遅発型反応:6~8時間後に起こる気道収縮反応。
  3. 後遅発型反応:好酸球の放出する顆粒により気道上皮が傷害され、気道過敏性が亢進。

臨床的特徴

  • 発作性の呼吸困難:喘鳴(ヒューヒュー、ゼィーゼィーという音)や呼気の延長が特徴的。

検査所見

  • 血液検査:末梢血好酸球数の上昇。
  • アレルギー検査:血清中総IgE値の上昇、特異的IgE抗体の上昇。
  • 呼吸機能検査:1秒量(FEV1.0)やピークフロー値(PEFR)の低下。

治療、管理と予防

  • アレルゲンの回避:ダニ、ハウスダスト、ペットのアレルゲンを避けることが重要。
  • 吸入ステロイド:炎症を抑え、全身的な副作用は心配ありません。治療の根幹を成します。
  • 減感作療法:根治治療として重要です。

経過と予後

  • 気管支拡張薬:一般的に反応性は良好。
  • 抗炎症治療(吸入ステロイド):発作を予防するための治療の主体。