血中尿素窒素(BUN)

基準値

  • 9~21 mg/dL

異常値の読み方

  • 基準下限以下(9 mg/dL以下)
    • 考えられる原因
      • 肝不全
      • 低蛋白食
      • 妊娠
      • 多尿(尿崩症など)
    • 臨床の意味:一般的に臨床の現場では大きな意味を持たないことが多い。
  • 軽度上昇(21~30 mg/dL)
    • 考えられる原因
      • 消化管出血
      • 脱水
      • 心不全
      • 閉塞性尿路病気
    • 必要な検査:血清クレアチニン(Cr)、クレアチニンクリアランス(Ccr)で腎機能障害の有無を確認。
  • 中等度上昇(30~60 mg/dL)
    • 考えられる原因
      • 腎機能障害
      • 消化管出血
      • 脱水
      • 心不全
      • 閉塞性尿路病気
    • 必要な検査:Cr、Ccrで腎機能障害の有無を確認。
  • 高度上昇(60 mg/dL以上)
    • 考えられる原因
      • 腎不全(人工透析の準備が必要なレベル)
      • 心不全
      • 高度血管内脱水(肝不全、癌などの腹水貯留)
    • 必要な検査:Cr、P、Ca、電解質、尿酸、血算などの測定。

異常値の原因

  • 高値:腎からの尿素排泄異常が主な原因ですが、腎外性因子も影響します。
    • 腎前性因子:脱水、心不全、出血などで再吸収率が亢進。
    • 高蛋白食、消化管出血、組織の異化亢進や崩壊時に産生が亢進。
    • BUN/Cr比が10以上の場合、腎外性因子が関与していると考えます。逆に、低蛋白食や血液透析直後ではBUN/Cr比は10以下となります。

重要な情報

  • 組織蛋白質や食事蛋白質の分解により生じたアミノ酸の脱アミノ反応で生じたアンモニアが、肝臓の尿素回路で代謝され、尿素となります。
  • 血中に放出された尿素は腎糸球体で濾過され、尿細管で再吸収され、残りが尿中に排出されます。再吸収量は尿量に強く依存します。

ワンポイントアドバイス

  1. 日内変動あり。日中高く、夜間低い。
  2. 性差あり、男性は女性より10~20%高い。
  3. 高蛋白食や強度の運動で上昇する。