血中クレアチニン(Cr)

基準値

  • 男性:0.6~1.2 mg/dL
  • 女性:0.4~0.9 mg/dL

異常値の読み方

  • 基準下限以下(0.4 mg/dL以下)
    • しばしば認める病気
      • 妊娠
      • 糖尿病の初期
      • 長期臥床
    • 時に認める病気
      • 尿崩症
      • 筋ジストロフィー
      • 多発性筋炎
      • 筋萎縮性側索硬化症などの筋肉量が少なくなる疾患
    • 臨床的意義:比較的珍しい疾患群なので、通常の一般診療では病的意味合いは少ない。
  • 軽度上昇(1.2~2 mg/dL)
    • しばしばあるいは時に認める病気
      • 脱水
      • 心不全
      • ショック
      • 糸球体腎炎
      • 間質性腎炎
      • 尿管結石
      • 前立腺肥大
      • 先端巨大症
    • 診断のための検査:問診(蛋白尿、血尿、糖尿病、高血圧、心臓疾患、腎臓疾患)、尿検査、クレアチニンクリアランス、腎臓の超音波検査、水分の出入りチェックなど。
  • 中等度・高度上昇(2 mg/dL以上)
    • しばしば認める病気
      • 腎不全
    • 追加検査:BUN、K、P、Ca、尿酸、血算の測定を行い、早期に腎不全対策を講じる。

異常値の原因

  • クレアチニンは筋肉中のクレアチンの終末代謝産物であり、腎糸球体で濾過され、尿細管での再吸収や分泌が少ないため、GFR(糸球体ろ過率)の指標として用いられます。しかし、GFRが2/3程度に低下するまでクレアチニン値に大きな変化はありません。そのため、クレアチニンの値が上がり始めたときには、すでに腎臓病はかなり進行していることを忘れないでください。
  • クレアチニンの上昇の原因
    • 腎前性因子:脱水、ショック、心不全など
    • 腎性因子:糸球体腎炎、間質性腎炎、尿細管障害など
    • 腎後性因子:尿路閉塞など
  • 筋肉量の影響
    • 増加:先端巨大症などで筋肉量が増加するとクレアチニンは軽度上昇する。
    • 減少:長期臥床、筋ジストロフィーなどで筋肉量が減少するとクレアチニンは低下する。
    • 高齢者:筋肉量が減少した高齢者の高クレアチニン血症は若年者よりも腎機能障害が進行している可能性が高い。

ワンポイントアドバイス

  1. クレアチニン値は筋肉量に比例するため、男性は女性よりやや高値を示します。
  2. 日内変動があります。肉食後に上昇し、早朝空腹時が最も低い。絶食時には日内変動は見られません。