減感作療法(Desensitization)
アレルギー性疾患とは
アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、気管支喘息、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎などを総称してアレルギー性疾患と呼びます。これらの病気は、ダニやスギなどのアレルゲンと呼ばれる物質が関与しています。
一般的な治療法
通常、これらの病気の治療には抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤、ステロイドホルモン剤、気管支拡張剤や吸入ステロイド剤などが用いられます。これらの治療法は対症療法と呼ばれ、症状を和らげることを目的としていますが、完治は望めません。
減感作療法とは
減感作療法は、アレルギー性疾患の根治を目指す治療法であり、アレルゲンを皮内や舌下に投与して徐々に免疫反応を弱めることを目的としています。
皮内投与
- アレルゲンの特定
- 皮内反応や血液検査(RAST、IgEなど)を用いてアレルゲンを特定します。
- 治療の開始
- アレルゲンエキスを非常に薄い濃度から皮内に少量(0.02 ml~)注射し、徐々に投与量を増やしていきます。
- 最終的に、アレルゲンエキスの濃度をさらに高め、段階的に投与量を増やします。
- 治療の進行
- 9ステップ×3~5段階のプロセスを経て、維持量に達するまで治療を続けます。
- 通院回数は27~45回が目安です。
- 治療の維持
- 最終的に週1回の注射に移行し、次第に間隔をあけて月1回にします。この状態を2年間続けます。
舌下投与
最近では、舌下免疫療法(SLIT)も広く用いられています。これは患者自身が自宅で簡単に行えるため、通院の手間を減らすことができます。
- アレルゲンエキスの使用
- 舌下にアレルゲンエキスを滴下し、数分間保持した後に飲み込みます。
- 初期治療
- 医師の監督下で、少量から始めて徐々に量を増やしていきます。
- 維持治療
- 最適な量に達した後は、定期的に舌下投与を続けます。通常は毎日1回の投与が推奨されます。
- 治療期間
- 舌下免疫療法は、3~5年間継続することで効果が期待できます。
治療の注意点
- アレルゲンエキスの投与計画は、熟練した医師によって決定されるべきです。不適切な高用量の投与は、重篤なアレルギー反応を引き起こす可能性があります。
- 特定のアレルゲン(ハウスダスト、スギ、ブタクサ、アカマツ、カモガヤ、ヒノキなど)に応じた治療計画が立てられます。
治療の効果とメリット
- 減感作療法は、花粉症や気管支喘息の根治を期待できる治療法です。
- ヒスタグロビンなどの非特異的減感作療法を併用することで、治癒率の向上が期待できます。
- 減感作療法は健康保険の適応があり、治療費用は一日あたり約1000円前後と比較的安価です。
注意点
- 「花粉症一発注射療法」と称される治療には注意が必要です。これは減感作療法とは異なるもので、効果や安全性が保証されていません。
- 減感作療法は、ステロイドの使用量を減らすことにも有効です。
今後の展望
- アレルゲンエキスの改良により、治療期間が短縮されることが期待されています。
- 安易なステロイド治療が多くの臨床的問題を引き起こしているため、減感作療法の重要性が増しています。




