食事療法

高血圧の基準と食事療法

高血圧の基準

  • 正常血圧: 収縮期血圧 < 120 mmHg かつ 拡張期血圧 < 80 mmHg
  • 高値血圧: 収縮期血圧 120–129 mmHg かつ 拡張期血圧 < 80 mmHg
  • 高血圧(ステージ1): 収縮期血圧 130–139 mmHg または 拡張期血圧 80–89 mmHg
  • 高血圧(ステージ2): 収縮期血圧 ≥ 140 mmHg または 拡張期血圧 ≥ 90 mmHg

食事療法のポイント

  1. 減塩:
    • 食塩感受性高血圧の患者は1日6g以下、非感受性高血圧の患者は1日8g以下を目指す。
  2. バランスの良い食事:
    • 主食、たんぱく質源、ミネラル源、ビタミン源、エネルギー源をバランスよく摂取。
  3. 適量を食べる:
    • 肥満を避け、標準体重を目指す。
  4. たんぱく質を十分に摂取:
    • たんぱく質は高血圧の予防に有効です。
  5. カルシウムやカリウムを摂取:
    • 牛乳、乳製品、野菜、果物を積極的に摂取。
  6. 食物繊維を摂取:
    • 野菜や果物をしっかり食べる。
  7. アルコールを控える:
    • 日本酒なら1日1合まで、ビールなら中びん1本まで。

食品中の食塩量

食品名目安量重量(g)食塩量(g)
食パン6枚切1枚600.8
うどん(茹で)1玉2500.8
中華そば(茹で)1玉1700.2
インスタントラーメン1個1006.4
カップラーメン1個955.3
あじ開き1枚(60g)421.3
めざし小2尾120.4
しらす干し小匙1杯60.7
うなぎ蒲焼2切700.9
板かまぼこ2切300.8
さつまあげ1個501.3
練りうに小匙1杯151.8
いか塩辛小匙1杯202.3
たくあん薄切2切201.4
うり奈良漬小うり2切201.0
らっきょう漬け中2個100.2
梅干し中1個(10g)61.2
福神漬け大匙1杯100.8
のり佃煮大匙1杯50.5
昆布佃煮大匙1杯150.5
ポテトチップス10枚100.1
塩せんべい3枚300.4

一般食堂・料理店の食塩量

料理名目安量(分量)食塩量(g)
親子丼1人前4.0
カツ丼1人前3.0
かまめし1人前3.0
ラーメン1人前6.0
うどん・そば1人前4.5
そばつゆ1人前(500cc)3.5
吸い物1人前(150cc)1.0
味噌汁1人前(150cc)1.5
洋風スープ1人前(200cc)1.4
中華風スープ1人前(200cc)1.4
カレーライス1人前4.0
うな丼1人前3.0
炒飯1人前3.4
焼きそば1人前5.4
サンドイッチ1人前2.2
スパゲッティ1人前2.4~3.0
にぎりずし1人前5.0~6.0
いなりずし4個分5.0

高コレステロール血症の基準と食事療法

高コレステロール血症の基準(最新)

  • 総コレステロール: 200 mg/dL 以下が望ましい
  • LDLコレステロール:
    • 正常値: < 100 mg/dL
    • 境界値: 100–129 mg/dL
    • 高値: 130–159 mg/dL
    • 非常に高値: ≥ 160 mg/dL
  • HDLコレステロール:
    • 正常値: ≥ 60 mg/dL
    • 低値: < 40 mg/dL(男性)、< 50 mg/dL(女性)
  • 中性脂肪(トリグリセリド):
    • 正常値: < 150 mg/dL
    • 境界値: 150–199 mg/dL
    • 高値: 200–499 mg/dL
    • 非常に高値: ≥ 500 mg/dL

食事療法のポイント

  1. コレステロールの摂取制限:
    • 卵黄、魚卵、レバー、モツなどは控えましょう。
    • 食品からのコレステロールを1日300mg以下に。
  2. 暴飲暴食を避ける:
    • 標準体重を保つことが大切です。
    • 肥満の人は体重を減らすことで血中コレステロールが低下します。
  3. 食物繊維を多めに摂る:
    • 食物繊維はコレステロールの排泄を促します。
  4. 脂肪の質と量を考えて摂取:
    • 植物油や魚油を多めに取りましょう。
    • 飽和脂肪酸の摂取は控えめに。
  5. 善玉コレステロール(HDL)を増やす:
    • 善玉コレステロールを増やすために、適度な運動や禁煙を心がけましょう。

食品中のコレステロール量と食物繊維量

食品中のコレステロール量

食品名使用量(可食量g)目安量コレステロール含有量(mg)
鶏レバー60222
豚レバー60150
牛レバー60144
鶏手羽肉100110
鶏もも肉(皮付)10095
鶏むね肉(皮付)10080
鶏ささ身702枚39
いか185中1杯555
あまさぎ(骨含)100190
うなぎ蒲焼60中2切144
たらこ351/2腹119
ししゃも(生干)402尾104
きす60中2尾60
とびうお801/2尾48
茹たこ80足1本72
車えび(養殖)50中2尾95
しらす干し10大匙225
いか塩辛10大匙123
あさり20中10個11
しじみ5中10個4
かき(貝)505個25
さざえ30中1個51
鶏卵50中1個235
卵黄18中1個234
プロセスチーズ402枚32
生クリーム15大匙118
バター10大匙121
カステラ351切67
ケーキドーナツ551個61

食品中の食物繊維量

食品名使用量(可食量g)目安量水溶性食物繊維含有量(mg)
フランスパン1000.9
干ぴょう水煮70小皿11.0
ごぼう水煮502.8
春菊(茹)60小皿10.7
切り干し大根15小皿10.5
ブロッコリー501/4株0.5
ほうれん草(茹)60小皿10.5
えだ豆(生)2515さや0.9
大豆もやし600.4
きなこ6大匙10.1
大豆煮豆60大匙30.8
糸引納豆80大匙41.8
らっきょう甘酢漬30中3粒0.5
さやいんげん(茹)505さや0.3
オクラ(生)202個0.3
抹茶51人分0.3
みかん90中1個0.7
干柿40中1個1.5

高尿酸血症・痛風の基準と食事療法

高尿酸血症の基準(最新)

  • 正常尿酸値: 3.0~7.0 mg/dL
  • 高尿酸血症: > 7.0 mg/dL

食事療法のポイント

  1. 肥満を解消する:
    • 痛風は肥満者に多く見られるため、体重管理が重要。
  2. アルコールを控える:
    • アルコールは尿酸の排泄を悪くするため、控えめに。
  3. バランス良く食べる:
    • 食事のバランスを整え、適量を摂取することが大切。
  4. たんぱく質を適量摂取:
    • 過剰摂取は尿酸の産生を増やすため、適量に。
  5. 脂肪と糖を控える:
    • 高脂肪食は尿酸の排泄を悪くし、果糖は尿酸の産生を増やすため控える。
  6. 水分を十分に摂る:
    • 尿酸の排泄を促すために、十分な水分摂取を心がける。
  7. プリン体を多く含む食品を控える:
    • プリン体は尿酸の材料となるため、含有量の高い食品を避ける。

食品中のプリン体含有量

食品名1回使用量:g(目安量)プリン体含有量(mg)
いわし100 (2尾)94
鶏レバー6089
いか100 (1/2杯)81
豚レバー6077
車えび80 (4尾)69
さんま100 (1尾)68
あじ干物60 (1枚)65
かき80 (大4個)64
牛レバー6061
ささ身80 (2本)54
いわし丸干し40 (2尾)54
とびうお80 (1/2尾)53
タコ8046
鶏もも肉8044
あじ60 (1尾)43
豚ヒレ8042
牛もも肉8038
きす60 (2尾)37
豚ロース8032
牛ロース8031
さば、ぶり60 (1切)31
あゆ50 (1尾)29
さけ50 (1切)26
ほうれん草8022
納豆40 (1パック)21
豚バラ肉6020
大豆20 (大サジ4杯)17
プレスハム40 (2枚)11

鉄欠乏性貧血の基準と食事療法

貧血の基準(最新)

  • 成人男子:
    • 血色素(ヘモグロビン濃度): 13~18 g/dL
    • ヘマトクリット値: 39~54%
  • 成人女子:
    • 血色素(ヘモグロビン濃度): 12~16 g/dL
    • ヘマトクリット値: 36~48%

食事療法のポイント

  1. 規則正しい食事:
    • 欠食を避け、1日3食を心がける。
  2. バランスの良い食事:
    • 主食、たんぱく質源、ミネラル源、ビタミン源をバランスよく摂取する。
  3. 必要なエネルギーを確保:
    • 食事量を減らさず、エネルギー摂取を維持する。
  4. 鉄分を多く含む食品を摂取:
    • 鉄分の多い食品を積極的に摂取する。
  5. 良質なタンパク質を摂取:
    • 鉄の吸収を助けるため、たんぱく質をしっかり摂取。
  6. ビタミンCを多く含む食品を摂取:
    • 鉄の吸収を促進するビタミンCを摂取する。
  7. 葉酸やビタミンB12を多く含む食品を摂取:
    • 造血作用に必要な栄養素をしっかり摂る。
  8. 酸味を含む食品を利用:
    • 酢や柑橘類は胃酸の分泌を促進し、鉄の吸収を高める。
  9. カフェインを控える:
    • 緑茶やコーヒー、紅茶は鉄の吸収を阻害するため、食事中は控える。

鉄分を多く含む食品

食品名使用量(g)目安量鉄含有量(mg)
豚レバー607.8
鶏レバー605.4
牛レバー602.4
卵黄181個分0.8
あまさぎ805~6尾4.0
まぐろ赤身60小1切1.2
うなぎ蒲焼70中2切0.7
かつおフレーク504.0
牡蠣60むきみ3個2.2
しじみ12 (殻付き60)味噌汁1杯1.2
あさり40中8個2.8
凍豆腐201枚1.9
糸引納豆501.7
焼き豆腐1001.6
木綿豆腐1001/41.4
小松菜70約2株2.1
干しひじき52.8
もずく(塩蔵)503.0

胃・十二指腸潰瘍・慢性胃炎の食事療法

食事療法のポイント

  1. 栄養を十分に摂取:
    • 病気に負けない体力を養うために栄養をしっかり摂る。
  2. 牛乳や乳製品を多めに摂取:
    • 牛乳や乳製品は胃酸濃度を低下させる効果がある。
  3. 刺激の強い食品を避ける:
    • 香辛料、塩辛いもの、酸味の強いもの、熱いものや冷たいものを避ける。
  4. 一度に大量の飲食物を避ける:
    • 一度に大量の食べ物を摂取せず、腹八分目を心がける。
  5. アルコール、炭酸飲料、コーヒー、タバコを控える:
    • これらの食品は胃粘膜を刺激するため避ける。
  6. 規則正しい食事:
    • 欠食を避け、規則正しい時間に食事を摂る。
  7. 消化の良い食品や調理法を選ぶ:
    • 柔らかく煮る、蒸す、焼くなどの調理法を選ぶ。

好ましい食品

食品群具体的な食品
穀類ご飯、うどん、そば、パン
芋類じゃがいも、さといも、山芋
果物りんご、バナナ、メロン、ももなど
野菜類レタス、きゅうり、大根、ほうれん草
魚介類タイ、マグロ、タチなど白身魚、赤身魚
肉類鶏肉、牛ヒレ肉、挽き肉、くじら肉
卵類鶏卵、うずらの卵
乳・乳製品牛乳、チーズ、ヨーグルト
大豆製品豆腐、納豆
油脂類バター、マーガリン、サラダ油など少量

避けたほうが良い食品

食品群具体的な食品
飲料アルコール飲料、コーヒー、炭酸飲料、濃いお茶
菓子類チョコレート、硬いせんべい、揚げ菓子類
香辛料カレー粉、からし、わさびなどの香辛料
繊維の多い食品ごぼう、たけのこ、わらび、パイナップルなど
その他塩味、酸味の強いもの(夏みかん、レモン)、燻製品、揚げもの

蕁麻疹の食事療法

食事療法のポイント

  1. 急性期の食事制限:
    • 梅干とおかゆ程度にして胃腸を休める。
    • 下痢を伴う場合は水分摂取程度で対応。
  2. 慢性蕁麻疹の注意事項:
    • 胃腸粘膜の乱れを防ぐため、香辛料の強い食物やアルコールを控える。
  3. 仮性アレルゲンを含む食品の制限:
    • ほうれんそう、なす、そば、たけのこ、松茸、里芋、魚介類などを控える。
  4. 防腐剤や合成着色料の制限:
    • 食品添加物による蕁麻疹の誘発を防ぐため、加工食品の摂取を控える。
  5. サリチル酸誘導体を含む食品の制限:
    • トマト、ブドウなどで掻痒が増強する場合は注意が必要。
  6. 調理のポイント:
    • 生ものは避け、煮たり蒸したりして抗原性を減弱させる。
    • 刺激物を避ける。
  7. 夕食は消化の良いものを摂取:
    • 腹八分目にし、夜間の蕁麻疹出現を防ぐ。

適切な食事療法を行うことで、各疾患の管理と改善を目指しましょう。