血清鉄(Fe)とフェリチン(Ferritin)
血清鉄(serum iron)
基準値(性差あり)
- 男性: 64~187mg/dL
- 女性: 40~162mg/dL
検査データの読み方
基準下限以下
64(女性40)mg/dL以下
- しばしば認める病気: 鉄欠乏性貧血(TIBCが増加)
- 時に認める病気: 感染症、膠原病、悪性腫瘍、真性赤血球増多症
基準上限以上
187(女性162)mg/dL以上
- しばしばあるいは時に認める病気: ヘモクロマトーシス、急性肝炎、再生不良性貧血、赤芽球癆、急性白血病、不応性貧血、鉄芽球性貧血
どうして異常値が出たのだろう?
鉄欠乏性貧血が疑われます。原因の検索をきちんとしておきましょう。悪性腫瘍を見落とさないように注意が必要です。
血清鉄の低下
- 鉄の喪失: 出血(胃がんや胃潰瘍、子宮筋腫など)
- 需要の増大
- 貯蔵鉄を利用できないとき
健常成人の総鉄量は約4gであり、蛋白と結合して存在しています。約2/3はヘモグロビンと結合して赤血球中にあり、約1/3はフェリチンやヘモジデリンと結合し、貯蔵鉄として細胞中に存在します。約0.1%がトランスフェリンと結合して血漿中に存在します。
血清鉄の増加
- 多くの鉄が体内に入る: 頻回の輸血や鉄剤の静脈内投与
- 需要の低下
- 貯蔵鉄の放出: 急性肝炎などによる細胞の破壊
ワンポイントアドバイス
- 性差: 女性は男性に比し低値を示します。月経による失血が主な原因と考えられます。鉄欠乏性貧血の食事療法を参考にしてください。
- 日内変動: 朝高く、夜低い。
- 年齢差: 発育期や老人では低値傾向を示します。
- 溶血: 採血した赤血球の細胞膜が破綻することで増加します。
フェリチン(Ferritin)
基準値(性差あり)
- 男性: 20~250ng/mL
- 女性: 10~150ng/mL
検査データの読み方
基準下限以下
20(女性10)ng/mL以下
- しばしば認める病気: 鉄欠乏性貧血、慢性出血
- 時に認める病気: 感染症、膠原病、悪性腫瘍
基準上限以上
250(女性150)ng/mL以上
- しばしばあるいは時に認める病気: ヘモクロマトーシス、急性肝炎、再生不良性貧血、赤芽球癆、急性白血病、不応性貧血、鉄芽球性貧血
どうして異常値が出たのだろう?
貧血や鉄過剰症が疑われます。原因の検索をきちんとしておきましょう。悪性腫瘍や感染症を見落とさないように注意が必要です。
フェリチンの低下
- 鉄の喪失: 出血(胃がんや胃潰瘍、子宮筋腫など)
- 需要の増大
- 貯蔵鉄の減少
フェリチンの増加
- 鉄の過剰摂取: 頻回の輸血や鉄剤の静脈内投与
- 細胞の破壊: 急性肝炎などによる細胞の破壊
- 貯蔵鉄の放出: ヘモクロマトーシス
ワンポイントアドバイス
- 性差: 女性は男性に比し低値を示します。月経による失血が主な原因と考えられます。
- 年齢差: 発育期や老人では低値傾向を示します。
- 溶血: 採血した赤血球の細胞膜が破綻することで増加します。
血清鉄とフェリチンの違い
血清鉄(serum iron)
血清鉄は、血液中に存在する鉄分を測定した値であり、主にトランスフェリンという蛋白と結合して存在します。鉄の代謝や貯蔵状況を反映する指標として使用されます。
フェリチン(Ferritin)
フェリチンは、体内の鉄を貯蔵する蛋白質であり、主に肝臓、脾臓、骨髄などに存在します。フェリチンの値は体内の鉄貯蔵量を反映し、鉄欠乏や過剰の診断に重要な指標です。
主な違い
- 血清鉄: 血液中の鉄分を反映し、短期的な鉄の供給状態を示す。
- フェリチン: 体内の鉄の貯蔵量を反映し、長期的な鉄の状態を示す。
血清鉄が低い場合、すぐに鉄欠乏の兆候として考えられますが、フェリチンが低い場合は体内の貯蔵鉄が不足していることを意味します。逆に、血清鉄が高い場合は短期間の鉄過剰が疑われ、フェリチンが高い場合は長期間にわたる鉄過剰が疑われます。




