γ-GTP(γ-グルタミルトランスペプチダーゼ)

γ-glutamyl transpeptidase [γ-glutamyl transferase]

基準値(性差あり)

  • 成人男性: 10~50IU/L
  • 成人女性: 9~32IU/L

検査データの読み方

超高度増加

500IU/L以上

  • しばしば認める病気: 急性アルコール性肝炎、閉塞性黄疸、肝内胆汁うっ滞(原発性胆汁性肝硬変など)
  • 確認事項: 飲酒歴、腹痛発作の有無

高度増加

200~500IU/L

  • しばしば認める病気: アルコール性肝障害、閉塞性黄疸、肝内胆汁うっ滞(原発性胆汁性肝硬変、薬物性)
  • 時に認める病気: 慢性活動性肝炎
  • 確認事項: 飲酒歴、薬物使用歴、腹痛発作、黄疸症状の問診

中等度増加

100~200IU/L

  • しばしば認める病気: アルコール性肝障害、薬物性肝障害、慢性活動性肝炎
  • 時に認める病気: 肝硬変、肝癌、脂肪肝、胆道病気
  • 確認事項: 飲酒歴、薬物使用歴

軽度増加

100IU/L以下の高値

  • しばしば認める病気: アルコール性肝障害、薬物性肝障害(抗てんかん薬、抗痙攣薬、向精神薬、ステロイドなど)、慢性肝炎、脂肪肝
  • 時に認める病気: 肝硬変、肝癌

どうして異常値が出たのだろう?

アルコールの過剰摂取や薬物使用が原因として考えられます。休肝日を設け、飲酒量を減らすことで改善が期待されます。お酒を2週間やめてみて、データが改善すればアルコールが原因と考えられます。

適正飲酒量

  • お酒なら: 1日1合
  • ビールなら: 中ビン1本
  • アルコール量として: 1日27グラムまで

γ-GTPの上昇の原因

肝臓内ではγ-GTPは肝細胞毛細胆管膜から胆管上皮に分布しています。肝胆膵の病気で血清中の活性が上昇する機序は以下の2つです。

  1. 酵素誘導作用: アルコールやてんかん薬などの薬物は酵素誘導作用があり、肝内のγ-GTP蛋白量を増加させます。
  2. 肝内胆汁うっ滞や閉塞性黄疸: 肝内占拠性病変では、ALP、LAPなど他の肝胆道系酵素と共に上昇します。

γ-GTPはALPとともに、閉塞性黄疸や肝内胆汁うっ滞の指標として用いられます。肝細胞癌では癌特異的なγ-GTPアイソザイムを認める例があります。

ワンポイントアドバイス

  1. 飲酒によってもγ-GTPが上昇しない例があります。
  2. 個人差が大きいが、同一個人では運動、食事の影響を受けず、日差変動もない。
  3. 女性は低値、小児や若年者も低め、新生児は高値。