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胃・十二指腸潰瘍

gastro_duodenal ulcer


症状
腹痛を経験をしたことがない人は、おそらくいないであろう。胃潰瘍は胃粘膜や胃の壁がえぐられてくるために起こる上腹部の痛みが特徴である。お腹がすいているときに、胃が痛む方はこの病気を疑って病院を受診してみるべきだ。


病気の原因
胃潰瘍はストレス病のひとつである。ストレスが多い人は、暴飲暴食をしやすい。また喫煙や飲酒、コーヒーのがぶ飲みなどがますます胃の粘膜を荒らす。ストレスが多いと、胃の血流量が減少し、胃粘液の分泌量が減少する。このような胃壁は胃酸から胃壁を守る力が弱い(防御能力の減少)。そこへお酒やタバコが入ってきてさらに胃酸分泌を増加させ(攻撃因子の増加)、かくて胃壁に穴が開くと古くから説明されてきた。


最近は、このような状況をさらに悪化させる因子として、胃内のピロリ菌の感染が指摘されている。加齢とともに胃内のピロリ菌感染率は高くなる。このピロリ菌感染が胃潰瘍を悪化させ治癒を遷延させている。また、この菌種の一部分が胃がんを起こす因子としても注目されているのは周知のとおりである。

ピロリ菌


無痛胃カメラ
上部消化管の検査として有名なのは、バリウムを飲んでレントゲン撮影をすることである。健康診断でもおなじみだ。
当院では胃カメラ検査が無痛で行えるので、あえてエックス線被爆を選択することなく、胃カメラ検査を(特に女性には)お勧めしている。

安全でまったく無痛の胃カメラ検査を受けてみよう!
テレビモニタの中に、患者様の胃の状態が下の写真のように映し出されます。(検査は家族同伴可能です。)

胃角上部の出血性胃潰瘍(動脈が潰瘍底に露出)
(45歳女性:ストレス性の胃潰瘍:白苔の中に動脈が切断されて黒く撮影されているのがお分かりいただけますか?)


胃カメラ検査は、エックス線被爆を避けることができること以外にも、次の利点がある。
1)口腔・咽頭・喉頭・声帯の観察が同時にできる。
2)食道を細かく見ることができる。
  食道がん
  逆流性食道炎
  なども同時に診断できる。
3)カラーモニターで観察しているので、消化管の粘膜の色調のみの変化を観察できる。(バリウム検査では粘膜に、凸凹がないと異常を指摘できない。)
4)粘膜の異常を感じたら、その場で消化管の粘膜を切り取り、顕微鏡検査に回すことができる。(生検といいます。)
5)小さな腫瘍などは、その場で切り取ることができる。
6)潰瘍からの出血を止めることができる。
7)胃粘膜よりピロリ菌の培養検査を行うことができる。

こうして考えてみれば、本当に便利な検査であるとともに、べんりな治療手段でもある。

胃カメラは一般的に苦しい検査であるという印象が強くて、検査を躊躇している方が多いようだが、当院の胃カメラ検査はまったく無痛である。あの苦しいと言われる気管支鏡検査さえ無痛で行うことを研究してきた私が行う検査だから、どうか安心して、お任せいただきたい。

実際の検査の様子をご覧になりたい方は、症例報告「今月の症例」をぜひご参考にしてください。
実際に検査を受ける方は、胃カメラ検査前の注意事項をご一読下さい。

治療
1)粘膜保護剤
2)胃酸分泌抑制剤
3)ピロリ菌除菌療法
ピロリ菌の除菌治療は「プロトンポンプ阻害剤と抗生剤(抗生物質)」という組み合わせで行います。
プロトンポンプ阻害剤は潰瘍の薬で、胃酸の分泌を強力に抑える働きがあります。これに抗生剤(いわゆる抗生物質)を併用して、ピロリ菌をやっつけるのです。
抗生剤2種類と、プロトンポンプ阻害剤とをあわせて使うことから「3剤併用療法」と呼ばれます。最近は武田薬品からこれらの薬を7日間パックにした薬キットが発売されました。飲み間違うことがないので、当院ではこの投薬キットを処方しています。

4)食事療法
規則正しく、消化のよいものを、よくかんで食べる。

5)精神療法
6)安静・入院
7)手術療法

アドバイス
まずは胃潰瘍かなと思ったら医師に相談することだ。気軽にガスター10を内服して、胃の痛みが消えて安心していたら、実は胃がんだったという笑えない話も実際にある。一般薬局で市販されている胃薬は結構強力なので、胃がんの痛みさえ抑えることができる。(しかし、胃がんが消えるわけではない、痛みがなくなるだけで、胃がんは確実に大きく成長しているのだ。)バリウム検査だけで胃潰瘍と診断して、胃カメラ検査を受けない姿勢も困ったものだ。どう専門家が見ても、肉眼では良性と悪性の判断がつかない潰瘍性病変は存在する。ぜひ、内視鏡検査を行い、顕微鏡レベルでも良性の潰瘍であることを確定診断しておいてほしい。


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