ALT (alanine aminotransferase)
概要
ALTはアラニンアミノトランスフェラーゼの略で、GPT (グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ) と同義です。最近はALTが使われる傾向にあります。AST (GOT) と一緒にデータを確認することが重要です。
基準値
- 6~43IU/L
検査データの読み方
超高度増加 (1000IU/L以上)
絶対入院
- しばしば認める病気: ウイルス性急性肝炎(極期)、ウイルス性慢性肝炎の急性増悪
- 時に認める病気: 劇症肝炎、薬物性肝炎、虚血性肝炎(ピーク時)
高度増加 (500IU/L以上)
もちろん入院
- しばしば認める病気: ウイルス性急性肝炎(極期)、ウイルス性慢性肝炎の急性増悪
- 時に認める病気: 急性アルコール性肝炎、薬物性肝炎、肝炎ウイルス以外のウイルスによる急性肝炎、総胆管結石
中等度増加 (100~500IU/L)
念のため入院
- しばしば認める病気: ウイルス性慢性肝炎
- 時に認める病気: 自己免疫性肝炎、急性アルコール性肝炎、薬物性肝炎、脂肪肝、肝炎ウイルス以外のウイルスによる急性肝炎、閉塞性黄疸、原発性胆汁性肝硬変
軽度増加 (100IU/L以下)
外来管理可能
- しばしば認める病気: ウイルス性慢性肝炎、肝硬変/肝細胞癌、脂肪肝
- 時に認める病気: 自己免疫性肝炎、薬物性肝炎、閉塞性黄疸
対応
- 肥満、糖尿病のチェック
- γ-GTP、ALPの測定
- 肝炎ウイルスマーカーの検索
- 総ビリルビン、PTの測定
- アルブミン、ChE、総コレステロールの測定
- 抗核抗体、IgG濃度、LE細胞現象の測定
- AFP、PIVKA-Ⅱの測定
- ICG15分値、アンモニア値の測定
異常値の原因
肝機能障害の可能性があります。慢性的な肝機能障害が考えられます。3桁の数値なら精査をお勧めします。
ALTは主として肝細胞内に存在し、肝炎ウイルスなどによる肝細胞の壊死、破壊によって血中に逸脱します。このため、血中ALT活性の上昇は肝細胞の壊死、破壊の程度を反映しています。原因は肝炎ウイルス、薬物、虚血などです。
急性肝炎ではAST、ALTともに3000程度まで上がることがしばしばあります。虚血性肝炎では一過性の血圧低下時にのみALTが逸脱し、以後逸脱が止まるため、血中半減期(約41時間)に従って急速に回復します。
半減期
- AST (GOT): 約2日
- ALT (GPT): 約6日
慢性肝炎では酵素の値はせいぜい300程度までであり、肝硬変に至ると酵素の値は100を切ることが多く、肝細胞の枯渇が進行していることを示唆します。一般的に、慢性肝炎ではALTが優位、肝硬変ではASTが優位であることが多いです。
ワンポイントアドバイス
- 立位では安静臥床時の約10%増しとなります。
- スポーツでわずかに上昇することがあります。




