爪の水虫

爪の感染症の中で一番多くみられるのが爪白癬(つめはくせん)、いわゆる爪の水虫です。爪白癬は足の水虫と同様に白癬菌というカビが原因で起こりますが、爪が白く濁ったり黄褐色に変色する、分厚くなるなどの特徴があります。

この方の爪の厚みは、10ミリ以上ありました。2003年6月30日撮影

60歳以上の4割の方に認められるという報告もあるほどありふれた病気ですが、痛くも痒くもないことから気づいていない方も多いようです。足の水虫を放置した結果、起こってくるケースが大半です。若い人にもよく見られます。自分の爪をしっかり観察してみてください。おかしいなと思ったら、専門家に顕微鏡で観察してもらいましょう。感染が疑われる組織を採取し、KOH液を数滴垂らして、15分ほど待つと、白癬菌が検出されれば診断は確定します。

典型的爪白癬(白濁と肥厚)

白癬菌(KOH法)X400倍

治療されていない爪白癬の爪からはたえず白癬菌がバラまかれています。その結果、自分の足の水虫も完治しませんし、体のほかの場所や、まわりの家族、友人にも感染源となってうつしてしまう可能性があります。足から爪、爪から全身にうつることもあります。本当に迷惑な話です。

白癬菌が体のどの部分に寄生したかによって、病名が変わります。股に寄生するのが股部白癬(いわゆるインキンタムシ)、頭に寄生するのは頭部白癬(いわゆるシラクモ)、おなかなどの体全般にできるのが体部白癬(いわゆるゼニタムシ)です。これらの水虫は塗り薬で治ります。

爪白癬の治療

爪白癬には塗り薬では十分な効果が期待できません。爪は表面が硬いため、塗り薬を外側から塗っただけでは、爪の中にまで薬の効果が行き渡りません。そこで内服薬による治療が行われます。内服薬は血液の流れによって爪に運ばれ、爪の内側から作用しますので、爪の中にいる白癬菌にまで確実に薬の効果が届くことになります。3ヶ月から6ヶ月の内服治療を行って完治させます。

長期間抗生物質を内服しますので肝機能障害が発生しないかどうか、念のため月に一度血液検査を行います。最近の内服薬は安全で、治療中止にいたることはほとんどありません。放置して爪周囲炎や蜂巣炎を合併させる前にご相談ください。

爪白癬の症状

  • 足爪の白濁
  • 肥厚(皮膚白癬合併)
  • 色調変化(黄褐色)
  • 爪の変色と剥離
  • 足爪の白濁と脆弱化