HDL-コレステロール
high density lipoprotein cholesterol
基準値
40~65mg/dL
検査データの読み方
高度低下
20mg/dL以下
- しばしば認める病気:アポ蛋白A-Ⅰ欠損症、レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)欠損症、魚眼病、Tangier病
- 時に認める病気:肝硬変、慢性腎不全
20mg/dL以下の著明な低HDL血症の原因としては、レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)欠損症などの遺伝性疾患のほかに、肝硬変などによるリポ蛋白の合成障害があります。
低下
20~40mg/dL
- しばしばあるいは時に認める病気:高脂血症、肥満、糖尿病、甲状腺機能亢進症、肝硬変、慢性腎不全、骨髄腫、脳梗塞、喫煙、プロブコール投与
増加
65~100mg/dL
- しばしばあるいは時に認める病気:コレステロールエステル転送蛋白(CETP)欠損症、肝性リパーゼ欠損症、アポ蛋白C-Ⅲ異常、長期多量飲酒、原発性胆汁性肝硬変、肺気腫、薬剤(フィブラート系薬剤、ニコチン酸、HMG-CoA還元酵素阻害剤、エストロゲン、インスリン)
高度増加
100mg/dL以上
- しばしば認める病気:CETP欠損症、肝性リパーゼ欠損症
- 時に認める病気:長期多量飲酒、原発性胆汁性肝硬変
100mg/dL以上の著明な高HDL血症は、コレステロールエステル転送蛋白(CETP)欠損症などで認められますが、この高HDL血症が治療を要するものか否かについてはまだ意見の一致を見ていません。
どうして異常値が出たのだろう?
HDLは末梢動脈の上皮細胞に蓄積したコレステロールを引き抜くことで、動脈硬化症に予防的役割を果たしているリポ蛋白です。疫学調査において、低HDL血症では虚血性心疾患の発症頻度が増加することが知られています。低HDL血症の原因として、高脂血症(特に高中性脂肪血症)に伴うものが多く認められます。
いわゆる善玉コレステロール。喫煙と運動不足で低下します。
低HDL血症は動脈硬化症の危険因子となるので是正が必要です。現在のところ特異的にHDLを増加させる薬剤は存在しませんが、少量の赤ワインを晩酌することでHDLの上昇を認めます。ただし、このワインで上昇したHDLが動脈硬化を予防するかどうかは定かではありません。したがって、HDLを低下させる原因(喫煙、運動不足、肥満など)を取り除く努力が大切です。
ワンポイントアドバイス
- 女性は男性より高値を示します。
- 多価不飽和脂肪酸、糖質の多い食事で低下します。
- 喫煙、運動不足、肥満にて低下します。
- 高中性脂肪血症(TG≧1,000)では、実際の値より高値を示すことがあります。




