高脂血症(高コレステロール血症)

臨床的特徴

高脂血症は必ずしも症状を伴わないことが特徴です。しかし、原発性の重症高脂血症では若年から症状が出現することもあります。続発性の高脂血症では、原因疾患の症状が前面に現れますが、長期に重症の脂質異常が続くと、高脂血症特有の症状が見られることがあります。定期的チェックの必要性を重視すべきです。

  1. 動脈硬化に伴う所見
    • 大動脈では大動脈瘤、冠動脈では狭心症、心筋梗塞、末梢動脈では間欠性跛行や壊疽などがあります。
  2. 黄色腫
    • 視診にて確認でき、高脂血症の発見の契機となります。
  3. アキレス腱肥厚
    • 家族性高コレステロール血症に多く見られます。アキレス腱の幅が増し、黄色腫が出現する前に触知できます。
  4. 関節痛
    • まれに関節痛を訴えることがあります。関節内の黄色腫による炎症反応が原因と考えられます。
  5. 角膜輪
    • 高コレステロール血症に伴う角膜輪があり、40歳未満で観察されたら高コレステロール血症を疑います。
  6. 肝脾腫
    • 特に高トリグリセリド血症の患者に多く見られ、中性脂肪の沈着によるものです。

検査所見

高脂血症は必ずしも症状を伴わず、血液検査が診断に重要です。空腹時に血清脂質を測定し、異常を認めればFriedewaldの式でLDLコレステロールを求めます。当院では直接測定が可能です。電気泳動により高脂血症のタイプを決定し、原因疾患をチェックします。

最新の診断基準
日本動脈硬化学会 2023年版

リポタンパクプロファイル基準値 (mg/dL)診断基準 (mg/dL)
総コレステロール (TC)<200高TC血症: ≧240 <br> 境界域高TC血症: 220~239
LDLコレステロール (LDL-C)<120高LDL-C血症: ≧160 <br> 境界域高LDL-C血症: 140~159
HDLコレステロール (HDL-C)>40低HDL-C血症: <40
トリグリセライド (TG)<150高TG血症: ≧150

治療、管理と予防

過食、喫煙、肥満、運動不足に注意し、生活療法を基本とします。運動療法では事前に冠動脈の硬化度を確認し、無症候性心筋虚血の有無を調査します。3か月以内に目標値に達しない場合は薬物療法を考慮します。家族性高コレステロール血症の場合は速やかに薬物療法を開始します。

食事療法

コレステロールの多い食品を避け、食物繊維を多く含む食品と酸化を抑える食品を摂取します。