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肥満細胞の脱顆粒現象


わたしのクリニックでアレルギー治療を受ける患者さんには、下記の図絶対に理解していただく必要がある
あなたのようなinternetを扱える知的レベルの持ち主には噛んで含めるように話をすれば99%理解可能と推測する。
今日はこの命題に取り組んでみる。(文章をやさしく書く能力がないので、真に申し訳ないが何度も読み返して欲しい。)


ほら、私のクリニックでアレルゲンの皮内反応が行われている。
アレルゲンを皮内に注射して、脱顆粒現象を間接的に観察する技術とも言える。
皮内にスギなどのアレルゲンを入れた瞬間に痛痒さが弾ける
15分もするとミミズ腫れが起きる。
この皮膚反応では、なにが体の中でおきたのでしょうか?

そこでは肥満細胞の脱顆粒現象がおきているのです。

肥満細胞 脱顆粒現象

すなわちアレルゲン(例えばスギ)に対応するIgE抗体を有するアレルギー患者さんの場合には、

1)アレルギ―性刺激IgEを介して肥満細胞に伝わる。
2)肥満細胞の細胞膜が破れる。(赤い顆粒が細胞から出ているところを見てください。)
3)肥満細胞の中に貯蔵されていたメディエーターヒスタミンなど)が、肥満細胞からばら撒かれる。
4)ばら撒かれたヒスタミンなどの貯蔵メディエーター鼻粘膜や気管支粘膜など局所で炎症を惹き起こす
5)この炎症とは、局所で血管の透過性が亢進し、白血球(特に好酸球)が局所に浸潤してくる現象を指している。
6)鼻粘膜で起きたアレルギ―性の炎症がアレルギー性鼻炎である。
7)気管支粘膜で起きたアレルギ―性の炎症が気管支喘息である。
8)皮膚で起きたアレルギ―性の炎症がアトピ―性皮膚炎湿疹の類である。

アレルギー反応が進むと、最後に局所に炎症が起きるよ!


以上の説明で上の図の左半分は理解できたでしょうか?
理解できたら、さらに読み進んでください。


ここで、以上述べたパスウェイをサッカーに例えて考えてみましょう。
あなたは、サッカーで絶対負けない方法を知っていますか?
いろいろな方法を考えてください?!
肥満細胞に刺激が伝わるパスを切る=減感作療法


サッカーで絶対負けない方法は、サッカーボールをグラウンドに持ち込まない事です。
これじゃあ、試合に勝つことも負けることもありません。サッカーの試合が始まらないからです。

このサッカーボールアレルゲンと置き換えてみてください。

アレルゲンが体に持ち込まれなければ、アレルギーの反応が起きません。(これを抗原の回避生活環境整備と言います。)

すでにお解かりのとおり、理論的には、アレルギー性鼻炎は原因となる抗原を吸い込まなければ症状はおきません。したがって、この抗原を回避する方法がまずとるべき対策となります。過敏症の原因アレルゲンがスギ花粉の場合は、飛散の多い日は外出を控える、窓・戸を閉めておく、外出時マスク・メガネを使う、帰宅したら洗眼・うがいをし鼻をかむ等でスギ花粉を回避します。原因アレルゲンがハウスダスト・ダニの場合は、室内の清掃、ぬいぐるみを持ち込まない、ソファー、じゅうたん等をやめる、空気清浄機を使う等で、できるだけダニを除去します。これらのことをまめに実行する事でかなり症状は軽くなります。しかし、吸入性のアレルゲンに関して、完璧な生活環境の整備を行う事は困難を極めます。


不幸にして抗原の回避が不可能な場合(スギ花粉やハウスダスト)には、どう対応したら良いでしょうか?
IgE抗体から肥満細胞に刺激が伝わるパスを切ればいいのです。(これが特異的減感作療法なのです。)


しかしさらに不幸なことに、肥満細胞に刺激が伝わってしまったら、どうすれば良いでしょうか?
肥満細胞の細胞膜を硬くして安定化させ、肥満細胞の中に貯蔵されたヒスタミンなどのメディエーターが肥満細胞から漏れ出ないようにすればいいのです。(これが非特異的減感作療法なのです。)


しかし、この防衛ラインも破られ、ヒスタミンなどの貯蔵メディエーターが局所粘膜にばら撒かれたら、どうしますか?
抗ヒスタミン剤やステロイドホルモンを投与し、局所での炎症を止めればいいのです。(これがいちばんよく使われる薬物療法なのです。)
対症療法としての薬物療法は、サッカーのボールの侵入をゴールキーパーだけが止めるような治療方法です。

これまでは、ゴールキーパーがボールの侵入を食い止めるような守備(対症療法)を毎年行ってきたわけです。
この方法のみではアレルギーのパスウェイをまったくカットできないことを御理解いただるでしょう?

ディフェンスラインをセンターラインまで引き上げることが積極的なサッカーの試合運びです。
ボールがゴールのそばをうろちょろしないようにする治療理論減感作療法の真髄です。

減感作治療が完成するまで、しばらく対症療法を併用するのはやむを得ないでしょう。
しかし、LASER治療も含めてアレルギ―性疾患の対症療法は翌年必ず再発します。


一寸休憩(脱線)

アレルゲンの攻撃をカットしよう!

アレルゲンの皮内反応が陽性(すなわちミミズ腫れが起きた方)になった方は、
以上のパスウェイにアレルギー刺激(ボール)が流れ、ゴールにボールが入ってしまった(得点されちゃった)・・・
・・・・と、この図を見ながら考えていただければ理解が深まりませんか?。


肥満細胞の脱顆粒現象が強くおきるほど、皮内反応後のミミズ腫れが大きくなってきます。このミミズ腫れの大きさから、どのくらいの脱顆粒が起きたかを推測出来る(ヒスタミンがどのくらい出てきたか半定量できる)ので、皮内注射後15分でミミズ腫れの大きさを測定しカルテに記載しているのです。

減感作療法の実際では、最初に皮内注射したアレルゲンの量を、最終的にはなんと25万倍まで増加させます。
この一連の減感作療法の治療経過で、ミミズ腫れの大きさは最初と同じことを皮内反応の大きさの測定で何度も確認しているのです。

スギの花粉がたった1粒飛んできて、くしゃみが出ていた人でも、減感作療法が終了するとスギの花粉が25万粒飛んできて、初めてくしゃみをする程度に、花粉に対する耐性が出来てきます。
脱感作療法とも免疫療法とも、あなたが理解しやすいように言い換えていただいて結構です。

とにかくこのレベルまで治療が進行すれば、あなたは花粉症とはオサラバ!」

今年こそ、もう花粉症とはオサラバしよう!


医学的要約

すべてのアレルギー性疾患は同様に、肥満細胞が活性化しメディエーター遊離して病気がおきるものだ。
これらの化学伝達物質(メディエイター)はともに血管の拡張、血管透過性を亢進させ、さらに神経を刺激して、皮膚の発赤、浮腫、痒みが出現する。
つまり、皮膚や粘膜に存在する肥満細胞は、種々の刺激により脱顆粒し貯蔵されていたヒスタミン、白血球走化因子、蛋白分解酵素などを放出する。また、細胞膜内のホスホリパーゼA2が作動してアラキドン酸が生成され、シクロオキシゲナーゼによりプロスタグランジンが、リポキシゲナーゼによりロイコトリエンが新たに生成遊離する。これらのケミカルメディエーターは、血管拡張、血管透過性亢進作用をもち、気管支喘息じんま疹の形態である発赤と浮腫を起こす。走化因子は白血球の浸潤を促す。肥満細胞の細胞膜を安定化し、脱顆粒現象を抑制するのに減感作療法は有効である。

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