血清蛋白分画

基準値

  • アルブミン (Alb): 60.5~73.2%
  • α1-グロブリン: 1.7~2.9%
  • α2-グロブリン: 5.3~8.8%
  • β-グロブリン: 6.4~10.4%
  • γ-グロブリン: 11~21.1%

検査データの読み方

臨床の現場診断に役立つパターン

  • 無アルブミン血症: Albが低下
  • ネフローゼ症候群: Alb低下、α2上昇
  • α1-アンチトリプシン欠損症: α1が低下
  • 急性反応相物質の増加: 急性炎症でα2が上昇、CRPが上昇
  • 無トランスフェリン血症: βが低下
  • 無(低)免疫グロブリン血症: γが低下
  • 肝硬変: Alb、α1、α2が低下、γが上昇、β-γブリッジング
  • M蛋白 (多発性骨髄腫、マクログロブリン血症など): α2-γに急峻なピーク

異常値が出た理由

血清蛋白分画は、セルロースアセテート膜電気泳動によって血清蛋白をアルブミン、α1-グロブリン、α2-グロブリン、β-グロブリン、γ-グロブリンの5つの分画に分け、それを蛋白染色してデンシトメーターで各分画の相対量を算出します。さまざまな病気により、これらの蛋白分画に特徴的な変化が認められます。

ワンポイントアドバイス

  1. M蛋白の有無を知る: 各分画の数値だけでなく、実際の泳動像やデンシトメトリー像を見ることが重要です。
  2. 溶血の影響: 遊離ヘモグロビンがβ-グロブリン分画に泳動され、β-グロブリン分画が高くなる。また、ヘモグロビンとハプトグロビンの複合体がα2-β-グロブリン分画に泳動され、分離が悪くなる。
  3. 血漿での蛋白分画: 血漿で蛋白分画を行うとフィブリノゲンがβ-グロブリン分画に泳動され、M蛋白と誤認されることがあります。
  4. 季節変動: 春、秋にはアルブミン分画、夏にはγ-グロブリン分画の上昇傾向がみられる。
  5. その他の影響: 採血時間、食事、体位の影響をほとんど受けません。