AST (aspartate aminotransferase)

概要

ASTはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの略で、GOT (グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ) とまったく同じものですが、最近はASTという名前が使われる傾向にあります。

基準値

  • 11~40IU/L

検査データの読み方

超高度増加 (1000IU/L以上)

絶対入院

  • しばしば認める病気: ウイルス性急性肝炎(極期)、ウイルス性慢性肝炎の急性増悪
  • 時に認める病気: 劇症肝炎、薬物性肝炎、虚血性肝炎(ピーク時)

高度増加 (500IU/L以上)

もちろん入院

  • しばしば認める病気: ウイルス性急性肝炎(極期)、ウイルス性慢性肝炎の急性増悪
  • 時に認める病気: 急性アルコール性肝炎、薬物性肝炎、肝炎ウイルス以外のウイルスによる急性肝炎、総胆管結石、心筋梗塞

中等度増加 (100~500IU/L)

念のため入院

  • しばしば認める病気: ウイルス性慢性肝炎
  • 時に認める病気: 自己免疫性肝炎、急性アルコール性肝炎、薬物性肝炎、脂肪肝、肝炎ウイルス以外のウイルスによる急性肝炎、閉塞性黄疸、原発性胆汁性肝硬変、心筋梗塞、筋肉病気、溶血性病気

軽度増加 (100IU/L以下)

外来観察

  • しばしば認める病気: ウイルス性慢性肝炎、肝硬変/肝細胞癌、脂肪肝
  • 時に認める病気: 自己免疫性肝炎、薬物性肝炎、閉塞性黄疸

異常値の原因

肝臓に負担をかけていませんか?ASTの値が高い場合、特に3桁の数値なら入院精査をお勧めします。

ASTは肝、筋細胞、赤血球内に存在する酵素で、これらの細胞の壊死や破壊によって血中に逸脱します。ASTの血中活性の上昇は、肝細胞、筋肉、赤血球の壊死や破壊の程度を反映します。ASTは心臓に多く分布し、GPT (ALT) は肝臓特異性が高いです。

ワンポイントアドバイス

  1. 採血やその後の検体取り扱い時に溶血が起きると、赤血球からASTが逸脱し、見かけ上、ASTとLDHの血中活性値が上昇します。
  2. 立位では安静臥床時の約10%増しとなります。
  3. スポーツでCKと共に上昇(最大約20倍)します。